Tuesday, October 05, 2004

アン・ライスの『眠り姫』三部作

がら~りと話題が変わって(本当に。)

アン・ライス-Anne Rice(この作品ではA.N. Roquelaureを使用)の「眠り姫三部作」

アン・ライスはトム・クルーズ、ブラッド・ピット(当時無名のアントニオ・バンデラスとスパイダーマンのキアステン・ダンストも出演)「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」最近では夭折した歌手アリーヤの主演した「Queen of The Damned」 の原作者である。

ヴァンパイアもの、ニューオリンズのフレンチクオーター文化ものでは世界で右に出るものがいない彼女、なんと1983年に「自分で読みたいとおもう、または読んで楽しく納得できるエロ本が無い」と言う基準で執筆したらしい。

確かに女性向けのエロ本は80年代にはほとんどなかった。

米国では60年代に女性解放運動が始まり、80年代に実生活での同権がある程度浸透してはいたが、やはり「男性中心の性からの開放」はまだだった。
エイズの医学的実態がまだ解明されずにいた頃である。
女性向けというと「プレイガール」という雑誌のみ。そして「初・女性向け男性ストリップクラブ・チッペンデールス」がオープンしたのがちょうどこの頃ではなかったか?80年代後半だったか?
ちなみに男性ストリップはゲテモノで終わらず文化として定着した。そして男たちがバチェラーパーテイでストリップクラブに繰り出すのと同じように、女たちも結婚前夜の同性同士独身最後の夜を満喫する「バチェラレット・パーテイ」ではちゃんと男性ストリッパーがエンターテイメントを提供するしきたりも定着した。
その後、ロマンス小説という分野が繁栄、その中にやっとエロ本とまでは行かないがある程度性の描写を主体にしたシリーズがでてくるようになったが、明らかに男性向けのエロ本は女にとって全然面白くないという「社会的意識・認識」が定着する前のことだ。

約20年が経過して、作家としての地位を不動にしたアン・ライスのこの作品が現在になって再注目されているのは、やっと一般に「享受されるだけでなく広く愛読される」風潮になったという事なのだろう。
私自身は本を購入するまで彼女の最新作だと思っていた。20年以上前に出版されていたとは。

私たちの知っている御伽噺が終わる直前からこの「大人向け3部作」がはじまるのである。そしてもちろん、いきなり「幸せに暮らしました」にはならない。2ページ目に眠り姫の部屋に入るところからしてエロテイックな描写が始まりあとは止まらないのである。
変に文学作品にしようという意図が無いから間延び(=飛ばし読み)する場所が無い。語彙の少ない男性向けエロと違って表現の豊かさが面白い。一応中世という設定のようだから会話も時代的でそれがまた余計女性には快感だったりする。

SMはいいのだが「同じパターンのお仕置き」があまりにも頻繁で、それだけでは少し芸がないかなとわずかに感じる。ちょっとは「品は変えてくれよ」というくらいか。もう一つ、登場人物はほとんどがバイセクシュアルである。これは、何か意図があったのだろうか?女性にとってバイセクシュアリテイは直感的にそれほど違和感が無いと思うが、ほとんど全員が、となると逆にホモセクシュアリテイに関する緊張感がなくなってしまうのでエロティカとしては逆効果ではないかと感じる。
つまり、エロ本を読む、ということには「幻想を見る」「実体験できないことを覗く」または、「覗き行為」だと思うのだが、最初からバイセクシュアルだとわかってしまうと「ああ、もしかして・・・これは」という密かな期待、または「登場人物はヘテロなのに強制されている」という緊張感が無くなってしまう。
人物と設定の構成が浅くて単純とかいう評があったが、そんなものが読みたければ「戦争と平和」を読めばよいのでかえってペースの速さに貢献していると感じた。たしかに、主人公の「Beauty」(眠り姫だが、もう起きたのでビューテイだけ)は結構すぐ「教育」されてしまったので、それが浅いといえば元も子もない。ビューテイは純粋なので簡単に教育されてしまっていいのだと納得しよう。それよりも他にビューテイと同じく囚われの身のプリンス・アレクシーがなんかのキャラクターの数でカバーされているから、別に飽きることはない。
とにかく、今のところ無駄なページが無い。

ミュセが匿名で著したといわれている「ガミアニ」は、彼が「直接卑猥な言葉や表現を遣わず通常の単語でどれだけ淫靡に出来るか」という賭けで挑戦されて書いたものだといわれている。
もちろん仏語のわからない私には判断することはできないのだが、その基準で言う限りこの「眠り姫」はその挑戦に十分勝利することが出来ると思う。(だいたい、現代のスラングなしのポルノは男向けのものには無いし。)

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